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映画 The Artist

観てきました。
何とも今の世の中の逆を行っているこの映画に喝采。
全編モノクロの無声映画。見る側の想像力をかき立ててくれる逸品でした。
カラーフィルムで撮影してモノクロ変換しているとの事で、
グレーゾーンの具合にも富んでいて美しく、近代的なモノクロです。
ワイドじゃない画面もとても味がありました。

これといった特殊効果なんて無くていいのです。
キャストの演技、映像美、ストーリー、そして音楽でここまで楽しめるなんて幸せです。
それが何よりも勝る特殊効果となっていると思います。
物語もどこか古き良き時代のアメリカ、「雨に歌えば」なんかを彷彿させますが、
ジーン・ケリーと重なる主演のジャン・デュジャルダンの演技も素晴らしい。
また、欠かせない犬のUGGIE。それぞれのキャラクターがとても愛おしく思えます。

そして無声映画に欠かせないのが音楽です。
全編を通して音楽でつながって行くのですが、
僕が注目したのは映画の中で唯一ピアノソロのシーン。
後半の主人公の苦悩へとつながって行くシーンで唯一ピアノだけの音楽でした。
そう、主人公にそっと寄り添うように。とても物悲しくも効果的で、印象的でした。

逆を行きながら最先端のこの映画。
トーキー時代へ突入し、主人公の唯一の台詞がありますが、これにも注目。
なぜ彼はそこまでしてしゃべりたくなかったのか。
彼のたった一つの台詞に凝縮されています。
が、これはちょっと日本人には難しい。彼がフランス人であるという事が
とても大きなポイントのようですよ。
これが分かる方は、相当のネイティブスピーカーですよ。
芸は身を助く。元気の出る作品です。

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by hiroshiurushido | 2012-04-13 15:20 | 映画